2019.10.31 インフルエンザ予防について

インフルエンザの抗体とは? 抗体ができる仕組みと、その働きを知ろう!

インフルエンザ予防について
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人間の体内にはインフルエンザなどのウイルスから身体を守ってくれる”抗体”というものが存在します。それでは、その目に見えない抗体は、どのようにして作られているのでしょうか。そして、どのように作用しているのでしょうか。今回はインフルエンザの抗体について、できあがる仕組みや働きなどを解説します。

ウイルスを撃退してくれる”抗体”とは?

身体を外敵から守ってくれる、抗体とは何?

細菌やウイルスなどの外敵が体内に侵入してくると、人間の身体はそれを異物とみなし、排除して身体を正常に保とうとします。この防御システムを免疫といい、その一連の働きの中で重要な役割を果たしているのが抗体です。
異物の侵入が察知されると、収集された情報をもとに、免疫グロブリンというたんぱく質によって抗体が作り出されます。抗体は異物に合わせて構造の一部を変化させ、異物の目印である”抗原”と結合します。結合すると、異物を効果的に排除するよう作用し始めるのです。その働きは大きく分けて以下の4つ。

① 中和作用:細菌が作り出す毒素を中和したり、ウイルスを細胞に感染させにくくする作用です。
② オプソニン化:ウイルスや細菌を、それらを退治する物質が取り込みやすい状態にします。
③ 細胞溶解:体内のほかの物質と協力して、細菌の細胞を破壊します。
④ 炎症の誘発:痒みや腫れなどの炎症を引き起こし、異物から身体を守ろうとします。

抗体そのものに細菌やウイルスを分解する作用はありませんが、様々な物質と連携することで感染症の発症を防いでくれるのです。一度感染した細菌やウイルスの抗体は免疫に記憶されるため、同様のものが侵入してきた際にはスムーズに排除できます。

インフルエンザの抗体は、変異するウイルスに合ったものが都度必要

ほかのウイルス同様、インフルエンザウイルスに対しても抗体は作られます。しかしほかの感染症と違い、インフルエンザウイルスは変異を繰り返すので、過去に獲得した抗体が必ずしも有効というわけではありません。そのため、前年にインフルエンザにかかっていたとしても、翌年もまたインフルエンザにかかる……といった事態が発生するのです。つまりインフルエンザの抗体は、その年に流行すると思われるインフルエンザウイルスに合ったものを、その都度獲得していく必要があるのです。

インフルエンザの抗体ができるまで。仕組みや期間を知っておこう

抗体はどのようにしてできるのか。有効な獲得手段は予防接種!

抗体を獲得するのに有効なのは、予防接種です。インフルエンザのワクチンは、海外でのウイルスの流行傾向や、国内の前シーズンの流行状況などから、その年に流行するウイルスを予測して作られます。2015年以降はA型が2種類、B型が2種類の計4種類のウイルスに対する複合タイプのワクチンが作られており、一度の接種で4種のインフルエンザウイルスの抗体を獲得することが可能です。

インフルエンザのワクチンは無毒化されたインフルエンザウイルスから作られる「不活化ワクチン」です。そのため、ワクチンによってウイルスが体内に侵入しても、ウイルスが増殖することはなく、インフルエンザを発症することはありません。しかしながら、異物であるウイルスの侵入はしっかり察知されるため、免疫システムが働き、これに対する抗体が作られるのです。抗体は免疫に記憶されるので、いざ本物のインフルエンザウイルスが体内に侵入してきても、獲得した抗体が素早く出動し、撃退してくれます。

これに対し、ワクチン未接種で、もともとの免疫機能による抗体の働きはどうかというと、ウイルスが少量であったり、身体の状態がよく免疫力が高い状態であったりすれば、インフルエンザを発症せずに済んだり、発症したとしても、軽度で済む場合が多いでしょう。しかしながら、免疫力が落ちている状態などでは、発症のリスクも高まると考えられます。つまり、ワクチンによってあらかじめ抗体を作っている方が、ウイルスが侵入した際にいち早く撃退できるので、より確実に、感染や重症化を防いでくれるのです。

予防接種のイメージ

抗体はどのくらいの期間でできる? 効果はいつまで続く?

ワクチンの接種から抗体ができるまでの期間は約2週間、一度できた抗体の持続期間は5カ月程度と考えられています。インフルエンザの流行期は12月から3月下旬までが主流なので、予防接種する際は、この期間をカバーできるよう予定を立てることが大切です。しっかり抗体ができた状態で、流行末期まで十分な効果を維持できるよう、11月中には予防接種を済ませましょう。
なお、病院によっては予約がいっぱいで希望日に接種できないこともあります。予約受付が始まったら早めに申込みをしましょう。特に、13歳未満の子どもの場合は、2回接種が推奨されています。1回目の接種から2、3週間経ってから2回目を接種するのが望ましいので、10月中に1回目、11月中に2回目を受けられるよう、スケジュールを組みましょう。

予防接種を受けてもインフルエンザにかかる!? 抗体の弱点

予防接種では十分に抗体ができないケースも

予防接種をしたのに、インフルエンザにかかってしまう場合があります。この要因の1つに、インフルエンザのワクチンが「不活化ワクチン」であることが挙げられます。ウイルスの毒性をなくした不活化ワクチンは、身体への負担が少ない分、1回の接種では十分に抗体が作られない人もいるのです。そのため、特に抗体ができにくい13歳未満の子どもでは2回接種が推奨されています。
要因のもう1つに、ワクチンに使用されたウイルスと流行したウイルスの型が違ったという場合があります。ワクチンに使用されているウイルスはあくまで予測に基づいたものであり、実際に流行したものと型が違ってしまうことも少なからずあるのです。
このように、予防接種を受けたからといって必ずしもインフルエンザに感染しないというわけではありません。しかしながら、感染した際に重症化を防ぐ効果は十分に期待できるため、接種する優位性の方が上回ると考えられています。

予防接種だけに頼らないインフルエンザ対策を

医師ポイント

先に紹介したとおり、予防接種はワクチンの性質上、インフルエンザを完全に防ぐことはできません。そのため、インフルエンザを予防するには、二重三重の対策が必要です。
マスクの着用や手洗い・うがいといった感染症の基本的な予防策に加え、規則正しい生活で身体本来の免疫力を良好な状態に保つことが大切です。栄養バランスのよい食事を3食摂り、睡眠時間を十分に確保しましょう。また適度な運動は免疫力を高めてくれるため、散歩やストレッチなど、無理なく取り入れられる運動を毎日の習慣にしましょう。

まとめ

毎年様々なインフルエンザが流行するため、抗体も新たに獲得し続けていかなければなりません。その手段として予防接種はとても有効です。ただし、抗体ができるまでに一定の期間を要するため、計画的に予防接種を受けましょう。また、予防接種は万能ではないため、「ワクチン打ったから安心」と油断は禁物。様々な予防策を併せて行い、インフルエンザからしっかり身体を守りましょう。

インフルエンザの抗体とは? 抗体ができる仕組みと、その働きを知ろう!

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