2020.11.18 インフルエンザ予防について

【医師監修】インフルエンザと虫歯は関係する? 知っておきたい口内環境や唾液との関係

インフルエンザ予防について
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インフルエンザにかかった時、高熱や全身の倦怠感などの症状に加えて、歯の痛みや歯茎の腫れを訴える人もいるようです。これはインフルエンザが口内環境に影響を与えて、起きているものなのでしょうか? 今回は、「インフルエンザと口内環境」をテーマに、その関係について詳しく説明します。

インフルエンザが虫歯の原因になる?

歯が痛い女性

インフルエンザにかかった際に歯の痛みを感じた場合、その痛みの原因はインフルエンザにあると思われがちです。しかし、実はインフルエンザではなく、その根本にある「免疫力の低下」が影響している可能性があります。まずは、免疫力の低下が歯の痛みを引き起こすメカニズムについて説明します。

歯の痛みを感じる原因は、免疫力の低下にあり?

免疫とは、ウイルスや細菌などの病原体から身を守るためのシステムのことです。免疫がしっかり機能していると、体内へウイルスや細菌が侵入してきても、すぐに退治するべく免疫細胞を働かせることができます。しかし免疫が弱まっている状態では、その力を存分に発揮できず、さまざまな病気にかかりやすくなると考えられています。その一つがインフルエンザです。

インフルエンザは、体内に侵入したインフルエンザウイルスが、のどや気管支、呼吸器に感染して増殖することで起こる感染症ですが、免疫力が低下している時ほど発症しやすいといわれています。そして実は虫歯や歯周病も、インフルエンザと同様に細菌によって引き起こされる感染症。免疫力が低下していると、口内の虫歯菌や歯周病菌に対する抵抗力が弱まり、細菌の力が強く働くので、虫歯や歯周病を発症したり、痛みを感じたりするのです。こういった理由から、インフルエンザと時期を同じくして、歯が痛むといったトラブルに見舞われることがあるのです。

インフルエンザが歯周病に拍車をかける?

「インフルエンザにかかったことをきっかけに、歯茎の腫れなど歯周病の症状が出た」という経験がある人もいるかもしれません。実は歯周病は、感染していても初期段階では自覚症状のない人が少なくないといわれる病気です。先に述べた通り、インフルエンザ感染時など免疫力が低下した状態では、口内の細菌に対する抵抗力が弱まり、歯周病菌の働きを強く受けてしまいます。そのため、それまで自覚していなかった歯周病の症状が悪化し、表面化したことで、歯茎の炎症や腫れ、歯の痛みを強く感じることがあるようです。

口のケアは、インフルエンザ予防にもつながる

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インフルエンザと歯の痛みには、共通する要因があることが分かりました。このほかにも、インフルエンザと口内環境には関係する部分があります。続いて、その関係性についてご紹介します。

清潔な口内環境がインフルエンザを予防する?

ウイルスや細菌などにとって、口は人体への侵入口のひとつです。しかも、口内は一定の温度や湿度が保たれ、食べかすなど栄養源となるものもあるため、ウイルスや細菌が増殖するにはうってつけの場所といえます。実際、口の中には300種以上もの細菌や真菌が存在しているといわれています。しかしその一方で、口内はウイルスや細菌などの侵入を防ぐ役割を果たす場所でもあります。というのも、口内には粘膜免疫と呼ばれる、ウイルスなどに対する防御機能が備わっているのです。ただし口内が不衛生な状態では、この免疫力は弱まり、防御機能も十分に発揮できません。こういったことから口内環境を清潔に保つことは、インフルエンザ予防の観点において重要と考えられています。

ちなみに、歯の表面に付着する白くてやわらかい「プラーク」(歯垢)は、食べかすではなく、口内細菌の塊です。プラーク1㎎中には、約10億もの細菌が含まれているといわれます。プラークは短時間でも繁殖するため、毎食後ていねいに歯磨きをし、口内をケアすることが、虫歯や歯周病だけでなく、インフルエンザなどの感染症を予防するためにも重要となるのです。ある介護施設で行われた研究では、歯科衛生士が高齢者に対して、週に1回ていねいなブラッシング指導や舌磨きなどの口腔ケアを行ったところ、「普通に歯磨きだけをしていた人と比べてインフルエンザの発症率が10分の1に減った」という結果も出たそうです。このことから清潔な口内環境を保つことは、インフルエンザ予防にもつながると考えられます。

唾液の作用について

口内環境と合わせて、インフルエンザ予防の観点で注目したいのが唾液の働きです。唾液には100種以上の物質が含まれていますが、その中には粘膜保護作用や、傷ついた粘膜組織を修復する作用を持つものもあるといわれています。つまり唾液は、細菌やウイルスの働きを防御する役割を果たしているのです。ただし、こういった唾液の効果が十分に発揮されるためには、ある程度の量が必要とされています。近年はさまざまな要因により、唾液量が減って口やのどが乾燥する「ドライマウス」と呼ばれる症状を持つ人も少なくありません。インフルエンザをはじめとした感染症を予防するためにも、口内の乾燥は避けたいところです。こまめな水分摂取を心がけ、口の中を乾燥させないようにしましょう。また、唾液は咀嚼により分泌が促進されるため、食事の際に噛む回数を増やしたり、噛み応えのある食品をメニューに取り入れたりするのもオススメです。なお、口呼吸は口内の乾燥を招くとされます。普段、口呼吸を行っている人は、意識して鼻呼吸を行ってみてください。また、自律神経のバランスの乱れも唾液の分泌の抑制する要因となるので、ストレスをためないようにすることも大切です。

まとめ

インフルエンザにかかった際に引き起こされることがあるという、歯の痛みや口内のさまざまなトラブル。これらは、インフルエンザウイルスが直接原因となっているのではなく、免疫力の低下が引き起こしている可能性があります。虫歯や歯周病だけでなく、インフルエンザなどの感染症の予防のためにも、普段から口の中を清潔に保てるよう、こまめなケアを心がけましょう。

木村医師よりコメント
インフルエンザは高熱が特徴ですが、それ以外にもいろいろな症状が出ることがあります。歯や口内の痛みといった症状は、インフルエンザの症状というより、免疫力が低下したことによって起こる症状といえますが、口の中が汚れていると、感染に弱くなることも知られています。日頃から丁寧な口腔ケアを心がけるようにしてください。

監修者

監修者

医師・木村眞樹子
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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