2020.06.04 ノロウイルスなど感染症予防について

【医師監修】子どもがノロウイルスに感染…… 保育園は何日休む?

ノロウイルスなど感染症予防について
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冬になると流行期を迎えるノロウイルス。長時間にわたって集団で過ごす保育園ではウイルスが広がりやすく、集団感染のニュースを耳にすることもあります。感染すると突然の吐き気や嘔吐、下痢に見舞われるので、保育園に通う子どもを持つ親は、仕事の調整やさまざまな対応に追われることになるでしょう。そこで今回は、いざという時に慌てなくても済むように、感染時の保育園の登園基準や、保育園での感染を防ぐための予防法について紹介しましょう。

ノロウイルスに感染! 保育園はいつから通える?

保育園児

保育園児がノロウイルスに感染した時、親がまず気になるのは登園できるかどうかの判断基準でしょう。保育園では、厚生労働省が策定している「保育所における感染症対策ガイドライン(以下「ガイドライン」という)」に基づいた対応が取られることになっています。ガイドラインによると、保育園児がノロウイルスに感染した場合、出席可能かどうかの判断基準は学校保健安全法に準ずるとしています。

●出席停止の扱いについて
学校保健安全法第19条では、ノロウイルスやロタウイルスといったウイルス性胃腸炎を「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患」と定めています。つまり、必ずしも出席停止となるわけではなく、学校長が学校医と相談をして、感染が拡大する危険性があると判断した場合に出席停止となるのです。保育園でも同様の対応がとられるため、ノロウイルスによる感染症だと診断された場合は、すぐに園に連絡を入れ、出席停止となるかどうか確認しましょう。

出席停止期間について
学校保健安全法では、ノロウイルス感染症に出席停止期間を設けているものの、明確な期間は定めていません。登校を再開できる状態の目安は「下痢・嘔吐症状が軽快し、全身状態がよい者は登校可能」としています。

そのため症状が出ている間は登園や外出を控え、少なくとも普段の食事ができるようになるまでは自宅で安静にして休みましょう。乳幼児における一般的な症状の現れ方としては、突然の嘔吐から始まって、1、2日は嘔吐や吐き気が続きます。その後下痢がみられ、3日~1週間程度で治まるとされています。症状が治まって、機嫌よく遊べるようになれば登園できますが、出席停止扱いの場合、保育園内での二次感染を予防するために、医師による治癒証明書や登園届の提出を求められることが多いようです。登園を再開するタイミングと合わせて、医師に相談するようにしましょう。

保育園での感染を防ぐための予防法

手洗いする子ども

保育園は、子ども同士や、職員と子どもが密接に関わりながら集団生活を送るため、感染症が広まりやすい環境です。特にノロウイルスは感染力が強い上、10~100個というごくわずかなウイルスが体内に入っただけでも感染してしまいます。また、症状が治まった後も1週間~1カ月間は便にウイルスが排出され続けるので、しばらくは二次感染の恐れもあります。 では、保育園での感染を防ぐにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。

●念入りな手洗いを徹底
多数の園児が触るおもちゃや遊具、トイレまわりにはウイルスが付着している可能性が高く、それらに触れることで、子どもの手指にもウイルスが付いてしまいます。子どもは口や鼻に手を持っていったり、食べ物を手づかみで食べたりすることが多いので、ウイルスを体内に取り込むリスクも高いです。手に付いたウイルスを取り込まないために、食事前やトイレの後などには石けんと流水による念入りな手洗いを徹底することが大切です。
とはいえ、小さな子どもが手洗いの重要性を理解し、正しく行うことは簡単ではありません。子どもの成長段階に合わせて分かりやすく手洗いの大切さを教え、楽しく習慣づけられる工夫や介助を行うとよいでしょう。

●衛生用品の共用は避ける
ノロウイルスは感染していても症状がみられない場合があるため、発症者の有無に関わらず、手洗い時や食事前に触れる機会が多い衛生用品は共用しないようにしましょう。例えば、手洗い時に使う石けんは、固形石けんよりも1回ずつ個別に使用できる液体石けんが望ましいとされています。手洗い後のタオルも共用は避け、使い捨てできるペーパータオルか、各自専用のタオルやハンカチを持たせるといいでしょう。ガイドラインでは、ペーパータオルを常用するのが難しい場合、園内でウイルスが流行している最中だけでもペーパータオルを使用することを推奨しています。
また歯ブラシについても、必ず各自専用の歯ブラシを使うように徹底します。まだ字が読めない園児にもどれが自分のものか分かるように各自のマークを付けるなど、他の子どもの歯ブラシを間違って使わせない工夫しましょう。使用後は、しっかりと水ですすぎ、ブラシを上にして清潔な場所で乾燥させ、他の歯ブラシと接触しないように保管してください。

●食品は十分に加熱する
給食やおやつを提供する保育園では、調理従事者は特に衛生管理に気を付ける必要があります。ノロウイルスは、85℃以上で90秒以上加熱すると失活化するので、調理の際は十分加熱をしてください。また、サラダやパンなど加熱することが少ない食材にウイルスが付着する可能性もあるため、調理場にいる際は手袋やエプロン、マスクを着用しましょう。

●吐いた後は適切に処置する
ノロウイルスによる嘔吐は突然引き起こされるうえ、広範囲に飛び散るため、二次感染の原因になりやすく、処理には注意が必要です。嘔吐物は感染者から半径約2m飛び散ると考えられているので、広範囲をていねいに拭き取って消毒してください。嘔吐物やその飛沫が取り残されて乾燥すると、ウイルスは埃や塵と共に空気中を漂い、それを吸い込むことで二次感染につながります。嘔吐物が付いた床や手すりなどは、次亜塩素酸ナトリウムを薄めた消毒液を使って拭くと、ウイルスを失活化させることができます。
なお、嘔吐物で汚れた寝具や衣類、個人タオルは、二次感染を防ぐために保育園では洗わず、ビニール袋に密封して自宅に持ち帰るようにします。自宅で洗う際は、嘔吐物をペーパータオルで取り除いて洗った後、消毒液に漬け置きすると効果的です。
では、ノロウイルスの失活化に効果のある消毒液の作り方をご紹介しましょう。

<消毒液の作り方>
市販されている家庭用塩素系漂白剤(濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム)を用いた消毒液を作ります。下記を参考に、使用目的に合った濃度に希釈してください。

便や嘔吐物が直接付いた場所・物を消毒(濃度0.1%)
① 空の500mlペットボトルに、ペットボトルのキャップ2杯分の塩素系漂白剤を入れる。
② ①がいっぱいになるまで水を注ぎ入れる。

感染者が直接触れた場所(ドアノブ、手すりなど)・物を消毒、寝具や衣服の漬け置き(濃度0.02%)
① 空の500mlペットボトルに、ペットボトルのキャップ0.5杯分の塩素系漂白剤を入れる。
② ①がいっぱいになるまで水を注ぎ入れる。

使用上の注意
・子どもが誤飲しないように、容器を色分けするなど細心の注意を払う。
・刺激作用があるので使用時はビニール手袋を着用する。手指の消毒には使用しない。
・色落ちが気になる衣類には使用しない。消毒液を使用しない場合は85℃以上の熱湯に漬けて消毒する。
・金属に使用した後は、腐食させないように念入りに水拭きする。
・ウイルスが取り残されていると消毒効果が低下するので、しっかり汚物を除去してから使う。
・消毒液は時間の経過とともに効果が落ちるため、その都度使い切り、作り置きをしない。

●処理に必要な物を常備しておく

二次感染を防ぐには、子どもが突然吐いた時にすばやく、上記の処置を行うことが大切です。そのためには、処置に必要なものを一つにまとめて常備しておくのがオススメです。「胃腸炎対策セット」としてバケツにまとめて入れておけば、いざという時に慌てずに対処できるでしょう。

<対策セット>
・バケツ
・洗面器(嘔吐用。あらかじめビニール袋をセットしておく)
・ごみ袋(大・小を複数枚)
・新聞紙、ペーパータオル
・布、タオル
・使い捨ての手袋・マスク・エプロン
・家庭用塩素系漂白剤
・空の500mlペットボトル

まとめ

乳幼児が長い時間を共に過ごす保育園に、ひとたびウイルスが持ち込まれると、集団感染が引き起こされる恐れがあります。登園前に子どもが吐き気や腹痛を訴えたら、その日は無理に預けず休ませる、園にきちんと体調について伝えるといった配慮も大切です。日頃から衛生管理や備えをしっかり行って感染予防に努めましょう。

木村医師よりコメント
保育園を休ませる場合、自身も仕事を休まなければならないなどの理由から「早めに登園させたい」という思いが出てくるかもしれません。しかし、ノロウイルスは感染力が強く、激しい下痢嘔吐を伴うなど、症状もつらいものです。保育園に感染を持ち込まないよう注意しておきましょう。また、保育園での感染が広がらないよう、予防対策も徹底するようにしてください。

監修者

監修者

医師・木村眞樹子
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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